電磁波対策・ガイドライン
電磁波対策の基本は、正しい情報の元、電磁波が人体に影響を与えるリスクが存在し、電磁波防御の対策が必要であることを共有認識することです。
電磁波対策の大原則は下記の3つからなります。
電磁波発信源から距離を取れ!
どれだけの距離を取るかは、電磁波の種類や強度などにより異なります。色々な発信源からの電磁波強度がその半分の強度まで下がるのにはどのくらいの距離をとるかを示した図です。
高圧送電線からの電磁波リスクは多くの方が認識していますが、携帯電話基地局、電子レンジやその他の電化製品からの電磁波リスクについては認識があまりありません。注意が必要です。
使用時間を短くし、電磁波被曝時間を減らせ!
電磁波を発生する電化製品や電子/無線機器(携帯電話など)の使用時間を短縮する。また電磁波を発生しない機器に替える。
強力な電磁波発生電化製品/電子機器の使用をやめる、
または弱い電磁波発生電化製品/電子機器に替える!
高圧送電線電磁波対策
電気は、電力発電所で発電され、最初に高圧変電所に送電されます。最終的に送電過程で100V、200Vまで電圧が下げられて、一般家庭、会社事務所、工場などの一般電力消費者に供給されます。高圧送電線の周辺では、送電線より放射される交流電界と交流磁界は、距離が離れるとともに強度は著しく低減します。
磁界に対して、国際機関による限界値ガイドラインが定められ、勧告されています。スウェーデンと米国では、高圧線から幼稚園までの最低距離勧告指令がすでに出されており、多くの人々が、高圧送電線の下やその周辺には住みたくないと考えています。高圧送電線の種類にもよりますが、高圧送電線からの距離を300mとることにより低周波電磁波の人体に対する影響は無いと考えます。距離を取る事が、送電線からの低周波磁界防御の唯一の有効対策です。
一般家庭でも、高圧送電線の下での住居と、似たような状況にあると考えられます。高圧送電線・変電所などの電力施設があなたの家の近辺になくても、あなたの家のそばの電柱には変圧器(トランス)があります。変圧器からは強い電磁波が発生しています。少なくとも3m以上離れていれば安全と考えます。距離を取りましょう。
屋内電気配線、電化製品からの電磁波対策
あなたの家には、低周波電界・磁界が存在しています。これは、家電製品、電灯、パソコンなどに必要な屋内電気配線が、家の壁、天井、床などに張り巡らされているからです。電線使用総量は30年前と比較して、平均して一棟あたり数倍になっています。
電線使用総量が増加した理由は、家庭の中での使用されている電化製品が多いいからです。高圧電線と同様、電流が流れている電線や、家庭内の家電製品からは、大量の低周波電磁波が放射されています。この意味でも、知らないうちに、身の回りで、低周波交流電磁波曝露を常に受けています。距離を取る、使用時間を減らして被曝を最小限に抑える工夫をしましょう。
⇒ 電磁波アドバイス
携帯電話基地局や携帯電話からの電磁波対策
全国には20万基以上の携帯電話基地局やPHS基地局が設置されています。また2008年12月末の時点で携帯電話・PHS契約数合計は1億1千万件です。このことから日本全国ほとんどの場所で、携帯電話基地局/PHS基地局からの電波(高周波電磁波)が受信可能です。 自宅内では外から伝播する強力な電磁波をシールドしたり、携帯電話を使用する方は、可能な限り、色々な電磁波被曝対策を行いましょう。
⇒ 電磁波アドバイス
電磁波ガイドライン
発ガン性などを含め健康影響に関する疫学研究の報告のほとんどは、低周波電磁波によるものでしたが、最近は携帯電話からの電磁波は脳に対する影響があるのではないか、とする研究も数多く出てきています。しかし現時点では電磁波と発ガン性の因果関係は断定できていないのが現状です。
世界各国や国際機関などが施行している電磁波予防ガイドラインまたは規制値は、一般的には人体安全の立場より企業側に立った緩やかなガイドラインまたは規制値です。
低周波交流電磁波に対するガイドライン・規制値
国際機関:ICNIPR(国際非電離放射線防護委員会)、WHO(世界保健機構)、IARC(国際ガン研究機構)がガイドラインを公表しています。このガイドラインは国際的な法的規制ではなく、各国に施行責任などはゆだねています。
人体安全の立場からのガイドラインも数カ国の国レベル、州レベルで、またはドイツ建築生物学協会(バウビオロギー)SBM2003ガイドラインなどが存在します。
国内外の低周波電磁波に関するガイドライン・規制値
⇒ 国内外の低周波電磁波に関するガイドライン・規制値表はPCサイトでご覧ください。
電界 | 磁界 | ||||
KV/m | 区分 | μ T | 区分 | ||
国際レベル | ICNIRP | 5.0(50Hz) 4.2(60Hz) | ガイドライン | 200 | ガイドライン |
WHO | 10 | ガイドライン | 500 | ガイドライン | |
IARC | 「極低周波磁界」を発ガンリスク2B (人に対して発ガン性の可能性あり)に分類 | ||||
国レベル | 日本 | 3 | 規制 | 200 | 規制 |
米国 | ― | ― | ― | ― | |
ドイツ | 5 | 規制 | 100 | 規制 | |
スイス | 5 | 規制 | 100 | 規制 | |
オーストリア | 5 | ガイドライン | 100 | ガイドライン | |
スウェーデン | ― | ― | ― | ― | |
州レベル | 米国、複数の州 | ― | ― | 0.4 | 規制 |
その他 | スイス(住宅、病院、学校など) | ― | ― | 1 | |
スウェーデン( TOC ) | ― | ― | 0.2 @ コンピュータから 30cm |
規制 |
スウェーデンやアメリカのカリフォルニア州などでは高圧電線の近くには、住宅や子供施設の建設禁止や、学校、病院の300m以内にある高圧電線の自主的な移設などを行っている電力会社もあります。
日本においては、残念なことに人体安全の立場からの電磁波低減ガイドラインや規制の動きはありません。
高周波電磁波規制値・ガイドライン
多くの国際的機関や諸外国では、マイクロ波などの高周波電磁波の電磁波曝露限度に関するガイドラインや規制などが施行されています。日本では電波防護指針が設けられています。国際的機関ICNIRPでは、900MHzの場合で約41V/m(4.46million μW/㎡)、1.8GHzの場合で約58V/m
(8.92million μW/㎡)と企業側に不利益にならない数値規制です。これに対して数カ国の国々では、厳しい規制値を設定しています。その中でもオーストリアのザルツブルグ州の規制値は室内1μW/㎡、屋外10μW/㎡と驚くほど厳しい規制値です。この室内の数値は、1500MHzの時の日本の高周波規制値1000μW/c㎡の1000万分の1です。
低周波電磁波以上に人体に対する影響があると懸念されている高周波に関して、高周波のガイドラインや規制勧告値は、多くの学者、海外市民団体・機関(ドイツの環境自然保護連盟BUND、ドイツ建築生物学協会のSBM2003など)から発表されています。これらの勧告値は、オーストリアのザルツブルグ州の規制値と同様に厳しい数値設定です。
国内外の高周波電磁波に関するガイドライン・規制値
⇒ 国内外の低周波電磁波に関するガイドライン・規制値表はPCサイトでご覧ください。
磁界 | |||
周波数 | 電力密度(μ w/ ㎡) | ||
国際レベル | WHO/ICNIRP | 900MH z 1800MH z |
4.5 × 10 6 9 × 10 6 |
WHO/IARC | 900MH z 1800MH z |
2 × 10 12 10 × 10 12 |
|
国レベル | 日本 | 900MH z 1500MH z |
6 × 10 6 10 × 10 6 |
ドイツ | 900MH z 1800MH z |
4.5 × 10 6 9 × 10 6 |
|
ベルギー | 900MH z 1800MH z |
1.2 × 10 6 2 × 10 6 |
|
スイス | 900MH z 1800MH z |
4.2 × 10 4 9.5 × 10 4 |
|
イタリア | 3MH z~ 3000MH z (4時間以上被曝する場所) |
9.5 × 10 4 | |
ルクセンブルグ | 携帯電話基地局から被曝する場所 | 2.4 × 10 4 | |
ポーランド | 300MH z~ 300GH z | 9 × 10 4 | |
ロシア | 300MH z~ 2400MH z | 2.7 × 10 5 | |
中国 | 300MH z~ 300GH z | 9.5 × 10 4 | |
州レベル | オーストリア、ザルツブルグ州 | 300MH z~ 300GH z(屋外) 300MH z~ 300GH z(室内) |
10 1 |
市民団体 | ドイツ建築生物学会(バウビオロギ - )協会( SBM2003 ) | 300MH z~ 3000MH z (パルス波) |
0.1 以下 問題なし 0.1-5 少々問題あり 5-100 問題あり 100 以上 非常に問題 |
高強度の高周波電磁波には、電子レンジと同様に熱を生じるため生体に影響を与える可能性があります。この理由から、携帯電話などの無線機器などでは、人体の電力比吸収率(SAR: Specific Absorption Rate 単位は[W/kg])を用いた規制値が欧州の国際非電離放射線防護委員会や米国の連邦通信委員会などで施行されており、日本でも総務省が電波防護指針を設定し法規制が行われ、携帯電話のSARが「2W/kg」の許容値を満たすことが義務づけられています。
理由は、携帯電話の熱作用による健康被害を防止するため、法律で電磁波によって吸収されるエネルギーが基準を超えないようにするためです。
国内外の電力比吸収率(SAR)値 関する規制値
⇒ 国内外の電力比吸収率(SAR)値 関する規制値表はPCサイトでご覧ください。
国際機関、国、その他の機関 | 規制値 | 測定値基準 | |
日本 | 総務省 | 2.0W/kg | 頭部(任意)組織10gあたりに吸収される エネルギー量の平均値(6分間) |
米国 | FCC(連邦通信委員会) | 1.6W/kg | 頭部(任意)組織 1g あたりに吸収される エネルギー量の限界値 |
韓国 | 情報通信部 | 1.6W/kg | 頭部(任意)組織 1g あたりに吸収される エネルギー量の限界値 |
ICNIRP | 国際非電離放射線防御委員会 | 2.0W/kg | 日本と同じ基準 |
TCO | スウェーデン事務労働組合連合 | 0.8W/kg | 日本と同じ基準 |
国際的なガイドライン採用の日本の許容値は、スウェーデン(TCO)、米国(FCC)、韓国(情報通信部)、などの厳しい基準値と比較すると、電磁波規制値・ガイドラインにおいては電磁波対策先進国であるとは言えません。また、中国やドイツなども厳しい基準値を検討しています。
国内通信会社の携帯電話機種別SAR 値(比吸収率)
大手携帯電話向け通信会社の中では、WILLCOMウィルコム製携帯電話機5機種が、現行機種のSAR値の低い順の上位5位を占めています。 WILLCOMウィルコムの低電磁波機種名は上位から、「WILLCOM LU」-0.0168W/Kg、「nico :ニコハート」-0.115W/Kg、「WX330K」-0.150W/Kg、「BAUM:バウム」-0.171W/Kg、「WX340K 」-0.193W/Kgです。
他の通信会社では0.1ケタ台のSAR 値(比吸収率)の機種はなく、NTTドコモの最少比吸収率機種は「N-07A」で0.244 W/Kg、au by KDDIの最少比吸収率機種は「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」で0.382 W/Kg、SoftBank ソフトバンクモバイルの最少比吸収率機種は、「930N」で0.541 W/Kgです。この例からも低電磁波の携帯電話を製造することは可能です。
国内各通信業者の携帯電話機種別SAR値一覧は、下記URLアドレスを参照してください。
NTTドコモ
FOMA:http://www.nttdocomo.co.jp/product/sar/foma/index.html
mova:http://www.nttdocomo.co.jp/product/sar/mova/index.html
au by KDDI
http://www.au.kddi.com/seihin/support/sar/index.html
softBank ソフトバンクモバイル(ボーダホンVodafone)
http://mb.softbank.jp/mb/support/3G/product/sar/

電磁波情報コーナー一覧のページへ